AH15(Y-15Ⅲ)の木型が、いよいよ完成
Y-15Ⅲは故横山晃が40年間に設計した400隻から導き出した結論である。その結論とは、スピードと操船のしやすさを両立させることであった。
「スピードを第一とするレース艇は、乗りがたいほど価値が高い」ウーファ・フォックスが設計したディンギー、「ファイヤフライ」を1948年、ロンドンオリンピックで登場させたときの言葉である。その主張は長く、セーリング・ディンギー界に、大きな影響を与えた。
しかし30年後、横山晃の設計になる「シード」が登場したことによって、ウーファ・フォックスの主張は覆された。スピードと乗りやすさは両立することが、初めて実証されたのだ。相反すると考えられてきたスピードと乗りやすさは、シードからさらに磨かれて、Y-15Ⅲに結実されたのである。
その設計意図を、量産艇として実現したいと考えたのが、青木と岡本のチームである。高価になる木造艇ではなく、リーズナブルな価格で提供できるようにして、多くの方に、この乗り心地を味わっていただきたいと考えている。