類人猿が教えてくれた人間の心
類人猿に重層社会が有ることを突き止めたのは、今西錦司や伊谷純一郎を初めとする人類学者の業績である。個体識別による長期間の観察によって、家族構成と社会構成を明らかにした。ヨーロッパ人には、猿の顔が皆同じに見えていた当時では、傑出した成果である。
「子殺し」はすでにチンパンジーの家族間にも存在することを教えてくれたのは、伊谷純一郎の講義であったことを思い出す。
今西錦司はこれらの成果を元に、独自の進化論を提出した。進化論と言えばダーゥインしか知らなかった私には、とても興味深い内容であった。競争、淘汰が進化をもたらすのではなく、棲み分けの密度化が進化であると唱えたのである。
その成果が、さらに発展していることが、次の記事を読んで実感することができた。「類人猿が教えてくれた人間の心」京大・松沢教授が講義