永遠のゼロを読む

読み終わって泣いた。新幹線の中だった。隣の女性は、見ない振りをしてくれているようだ。しかし涙が止まらない。「永遠の0」を読んだからだ。零戦のパイロット宮部久蔵の、見事な死に方を描いている。
解決しようもない葛藤を抱えながら、最後は特攻に赴く。最高度の低空飛行技術を駆使し、敵空母へ接近する。そして見事に甲板中央へ激突する。その技術は敵にまで賞賛されることとなる。稚拙な作戦立案と、使命を尽くそうとする個人の見事な生死。
勇気ある人は、細心の注意を払う。優しい人は、さりげない。誠実な人は、おもねない。愚直な人は、約束を守る。死にそうな時にさえも冷静でいられる人は、私も含めてまずいないだろう。しかしそんな素敵な日本人が、67年前にはいた。
それに引き換え、ちょっとしたことで冷静さを失う自分がいる。恥ずかしい自分だが、宮部久蔵のおかげで勇気が湧く。

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