歯医者さんへ行く
奥歯が痛み出したので、かかりつけの歯医者さんへ行った。神戸の住宅地にあるので、自宅から1時間半ほどかかる。しかし遠くても、他の医院へは行きたくない。
歯髄が炎症を起こしているとのことだったが、治療は、かみ合わせの調整だけだったようだ。しかし不思議なのは、その場で痛みが軽減することだ。しみて痛かった冷水も温水も、 嘘のように軽くなった。
初めて診てもらったのは3年前だ。奥歯の3本がぐらぐらし、かむのに困るようになったからだ。近くの医院で治療を受けたが、改善しない。見かねた知人が教えてくれたので、神戸のY先生を訪ねることにした。
「上の両側3本ずつは、もうすでに抜けているのと同じですよ、歯周病が相当進んでいます」レントゲン写真を見ながら、説明が始まった。歯垢を取って、顕微鏡で見せてもらった。うようよとばい菌が動いている。
「普通の治療法としては、4本は抜いてしまいます。」
「抜いて義歯にしたくないなら、ブラッシングで改善できるかもしれません、やるならブラッシング法を指導します」
手鏡とブラシを渡されて、丁寧な指導が始まる。
その後は半年に1回、検査とブラッシングの指導を受けてきた。
「もう抜けてしまったのではと思っていたが、以前より良くなってきましたね」「こんなに持つとは、これはもう新記録ですよ」
そうか、それなら頑張ろう。意欲がわいてくる。
「すごいね、これは100点満点ですよ、歯茎が見違えるように綺麗になっています」
「ここまで出来るんだったら、次はこのブラシで歯茎マッサージをしてみましょう、どこまで自分の歯が持つか、 試してみましょう」
「良かったら、読んでください」
帰り際に、一冊の書籍を頂いた。「食生活と身体の退化」Weston A. Price著、片山恒夫訳だ。Y先生も翻訳に携わったとのことだ。帯には民博館長であった梅棹忠夫の名前がある。読み進めるのが楽しみだ。
Y先生は名前を出すのはやめて欲しいと言われた。しかも新しい患者は取らない方針とのことだ。とても残念である。しかし歯科医としての一貫した生き方はお見事だ。先生に診てもらって良くなるのは、歯だけではない。